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『信仰』(村田沙耶香)
最後の初出のページ見たあともう一回読み返すのが面白かった。ほとんど海外からの依頼で書き下ろされたものというのがびっくり。海外からも注目されてるんだな...依頼されたテーマも面白い。「生存」という短編の依頼テーマは「地球温暖化と社会的な不平等の相互関係」。どういうこと????それでこのテーマからしっかり深いところまで掘り下げて心に訴えかける作品を書くとかプロってすごい(小並感)
個人的には「気持ちよさという罪」と「最後の展覧会」が良かった。芸術が否かって、作った人ではなく見た人が100%判断するものですよね。作者の死ってこういうことか!と実感した。Close

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『自分の中に毒を持て』(岡本太郎)
人間って生まれた直後は純粋な「歓喜」に満ちているけどその後は他人の作った価値観にもまれて擦れていくだけだよなと思った。現代社会のおかしさや矛盾を痛快に指摘していて、読んでて楽しかった。「こうこうすれば人生勝ち組だ」とか言ってる人たちに感じるモヤモヤも晴れた。他人から押し付けられた勝ち負けの概念を自分の中に取り込んで、他人から教え込まれた”勝つ”方法をその通りに試すことの何が楽しいんですか????
そして一番気になるのはSNSが普及したこの時代を彼がどのように捉えるのかということ。もはやSNSに投稿するために何かの行動を起こす人(もちろん自分もその一人なんですが)たちばかりの現代を!!!しょーもないもんに夢中になってるなあと喝破してほしい。Close

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『正欲』(朝井リョウ)
「性」と「正」のお話。引用祭りです。
「私はずっと、この星に留学しているような感覚なんです。いるべきではない場所にいる。そういう心地です。」
「みんな本当は気づいているのではないだろうか。自分はまともである、正解であ
ると思える唯一の依り所が“多数派でいる”ということの矛盾に。三分の二を二回続けて選ぶ確率は九分の四であるように、“多数派にずっと立ち続けること”は立派な少数派であることに。」
どうせ他人を完全に理解することなんて不可能だし、自分を100%わかってもらうことも無理なんだから、もう他の人に対しては「理解あるよ」とも「キチガイ」とも言わず「ふーん」でいいのでは…?たぶん私は自分の周囲の人(親しい人であっても)のことは、その人の1割も知らないなと思った。例えばこの本の中にもあるように、親が死んでも親族以外誰に連絡すればいいかなんて全くわからない。そもそも私が産まれるまでどんな人生を送ってきたすら一切知らない。一番長い時間を共に過ごしたであろう親ですらこの調子なんだからまして他の人は、って話ですよね。
あと表紙がすごいきれい。Close

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⚠ネタバレ注意
『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)
ずっと読みたいな読みたいなと思いつつ後回しにしていた本。話としては超要約すると「戦闘→仲間死ぬ→戦闘→仲間死ぬ...」の繰り返しだが、全然飽きが来ない。すごい。史実とか実在する人物とかを織り交ぜて話に深みやリアリティーを足してるのも面白い。人をたくさん殺して仲間をたくさん殺されて結局何が残ったのだろうという虚しさが全体に漂っている一方で、後味がめちゃくちゃ悪くて憂鬱になるというわけでもない。
というか最後の百合匂わせが強烈過ぎて何も覚えてない!!!恋愛とかそんな軽い感じで表現していい関係ではないけどなんというかこの...シスターフッドというか...推せるなと思った。自分小説の感想書くの本当に下手すぎだな(別に小説以外の感想が上手いわけでもないが)Close

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⚠ネタバレ注意
『CF』(吉村萬壱)
科学技術の発達によって「罪の責任」が物質的に処理され責任を取る必要がなくなる...何言ってるかわからない。この世界の人達もたぶんわかってない。だけど「責任から逃れたい」という思いによって、もしかして責任がなくなるというのは本当なんじゃないだろうかと信じたくなる。
しかもCFは本当に何もしていなかった。ただ人々の責任から逃れたいという思いだけで成り立ってるシステム。全ての責任がなくなるって聞くと素晴らしいことのように思えるけどディストピアでしかない。Close

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⚠政治
『問題は右でも左でもなく下である』(適菜収)
日本の政治全てを右とか左とか関係なく痛烈に批判している本だった。著者に言わせれば今の日本の政治家にまともな「右」「左」の人はいなくて、全員「下」なんだろうけど...言いたいことはわかるし批判も割と的を射たものだと思うものも多かったけど、この人どこに投票してんの!!??あと著者自身の考えはほとんど述べられてなかったなーという印象。Close

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お盆特に出かける予定ないので本読んで高校野球見てプロ野球見てスマホいじるだけの老後みたいな生活送ってるせいで1日1冊ペースで本が読み終わる(明日も別の本の感想投稿してると思う)
『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』(セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ)
人には絶対に言わない本音をGoogleになら打ち明ける。自分の身にも覚えがある。人との会話についていけなくてこっそり陰で検索してるなんて日常茶飯事。でもみんなそうなんだなーと思って安心した。「自分の内面を人の外面と比べることなかれ」を現代風に言うと「自分のグーグル検索を人のSNS投稿と比べるなかれ」だそう。それな~~!!
そして私達インターネットユーザーのネット上での行動は無意識のうちに、より滞在時間を長くするための実験(A/Bテスト)の対象となっている。そりゃめちゃめちゃ賢い人達がより依存性を高くするために日々邁進しているSNSやインターネットはとんでもなく依存性高いでしょうね...
他にも色々興味深い事実(ゴシップ心をそそるものから深く考えさせられるものまで)が沢山示されてて面白い。例えばインドとバングラデシュのポルノサイトでは他の国に比べて「授乳」の検索が飛び抜けて多いらしい。なんでかはわからん。しかし理由はわからなくてもそのデータは確実に存在する。
あと著者が面白い。ユーモアセンスありまくり。Twitter見たら新しい本出したみたいなので、日本語訳されるのを待ってますClose

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『カルト村の子守唄』(高田かや)
絵も字もめちゃくちゃ可愛くて大好きです。1作目と2作目は読んでたのでこれが3作目か~と思いきやこの前にもう1冊出てました(『お金さま、いらっしゃい!』)。今度読みます。
相変わらず”カルト村”の名前は出さない。「農業を基盤としたコミューン」なんて私1つしか知らないんですけどね...ただ村を批判したりこき下ろしたりすることが目的の本じゃないから別にこれでいいと思う。
いろいろ異質なところはあるが思ってたより普通な暮らしが描かれてる中に、たま~に「ん!!!!????」ってなる要素が入ってる。今回1番「ん!!!!????」ってなったのは、

かやさん「本部的にはこの長い階段にも意味があったみたいでひとつひとつ『子放れの門』とか『月界への通路』とか名称もついていて」
ふさおさん「『月界』...?」
かやさん「村では保育所は『親の重力から子供が自由になる無重力空間』って考えだったから...」
ふさおさん「『親の重力』...?」


ってとこです。親の重力、、、??まあ言いたいことはわからんでもないし存在するとは思うけど、一概に親から引き離す(しかも保育園に通うような年齢の子どもを!)ことで解決する話なのか???
でも、自分で選んだわけではないとはいえ村で生まれてその理念に特に疑問を抱かずに今も村で暮らしている人だっているのだから、あまりにも狂ってる狂ってるって言いすぎるのもどうなのかなーと思った。村から見たら一般社会のほうが狂ってるんでしょうし。どんな環境であれ自分の生まれ育った環境が世間全体から総スカン食らって否定されたら悲しいしね。うーん難しいなClose

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読んだ本の感想もここに書いていきたい。とりあえず読んだ本は全部ここに感想書いて、特におすすめの本はブクログにまとめます。
↓※若干私の思想が出てるので注意(ほんとに若干ですが)
『21世紀の道徳 学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える』(ベンジャミン・クリッツァー)
手に取ったきっかけが思い出せないけどめちゃくちゃ面白かった。「自分は保守(あるいはリベラル)派だからこの問題にはこういう意見を持ってます」ではなく、個々の問題に対して同じ考え方で結論を出していっている。自分の考え方とは合わんなーという章もあるにはあったが、そういう章も読む価値はあったと思う。以下、特に印象に残った章と感想。
・第2章 人文学は何の役に立つのか?
私はこの問いに対するまともな答えを見たことがない気がする。というか私も、この問いに正面から答えられない。(「役に立たない学問は不要という発想が恐ろしい」みたいな解答しかできない)
ただ、人文学が大学で税金を投じて学ばれていたり、人文学者という職業が存在していたりするのだから何らかの役に立っていないとおかしいだろうという主張はもっともだ。この本で提示されている解答は私にはあんまり納得いかなかったけど読む意味はあった。
・第3章 なぜ動物を傷つけることは差別であるのか?
今まで「動物は肉食べて生きてきたんだから人間である動物が肉食うのも当然だろ」と思って、ヴィーガンのことを白い目で見てた節があった。しかしこの章を読んで何故自分が肉を食べているのかがわからなくなったし、ヴィーガンを批判できる正当な理由が何一つ思いつかなくなってしまった。じゃあ今日から動物性のものを食べないかと言われれば違うけど...(野菜大嫌い肉大好きな子供舌なので)少なくともベジタリアンやヴィーガンを嘲笑するのはやめようと思った。
・第11章 快楽だけでは幸福にたどりつけない理由
まあ当たり前っちゃ当たり前の話だが、「快楽は受動的に得るものだが幸福は積極的な行動の末に得るもの」という表現がすごくしっくり来た。

単純に本としてもすごく面白かったのでおすすめです。全体的に読みやすかった。Close

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